2026.10.12 ネット被害
発信者情報開示の意見照会が届いたら?回答前に確認すること

インターネットの契約先から、発信者情報の開示に同意するかを尋ねる書面が届くと、何が起きているのか不安になるかもしれません。意見照会は、それだけで損害賠償の責任や金額が決まる通知ではありません。当事務所が、対象の投稿と回答期限を確認し、落ち着いて対応するためのポイントを説明します。個別の結論は、投稿内容や通信の状況によって変わります。
意見照会で尋ねられている内容を整理する
発信者情報開示の意見照会は、投稿等により権利を侵害されたと主張する人から開示請求を受けた事業者が、発信者に意見を尋ねる手続です。回線の契約者へ届くことがありますが、契約者と実際に投稿した人が同じとは限りません。封筒、照会書、対象情報の別紙、回答書をひとまとめにして確認します。
開示への意見と賠償責任は分けて考える
照会書の中心は、事業者が保有する氏名や住所などの情報を開示してよいかという点です。開示に同意することと、相手が主張する損害額の全額を認めることは同じではありません。一方、同意しないと回答すれば手続が終わるとも限りません。権利侵害が明らかか、開示を受ける正当な理由があるかなど、法律上の要件を踏まえて判断されます。
| 書面で確認する項目 | 整理する内容 |
|---|---|
| 差出人と連絡先 | 契約先事業者と一致するか、担当部署はどこか |
| 対象の投稿・通信 | URL、本文、日時、接続情報など |
| 求められる開示情報 | 氏名、住所等のどの情報が対象か |
| 権利侵害の主張 | 名誉、プライバシー、著作権など何が問題か |
| 回答方法と期限 | 提出先、添付資料、到着期限の指定 |
書面の真正に不安がある場合は、契約先の公式窓口を自分で確認して問い合わせましょう。書面に記載された不審なリンクや振込先へ、そのまま情報を送る必要はありません。ただし「心当たりがないから偽物」と決めつけず、対象の通信と契約の関係を確かめることが大切です。
回答前に投稿と資料を照合しましょう
回答では、感情的に相手を非難するより、どの事実が一致し、どの点が違うのかを具体的に示すことが役立ちます。対象投稿が複数あるときは、一つずつ番号を付け、書いた記憶、日時、引用した内容、前後のやり取りを整理します。記憶が曖昧な部分は、確認できた事実と分けて記載しましょう。
心当たりがある場合は前後の文脈も残す
対象となった一文だけでなく、返信先の投稿やスレッド全体、添付画像、当時の資料を保存します。名誉毀損が問題となる場合でも、誰について述べたか、どのような事実を示したか、公共性や真実性などが争点になることがあります。「本当のことなら何を書いてもよい」「匿名なら問題ない」という整理では対応できません。
プライバシーや著作権の問題は、名誉毀損と判断の仕組みが異なります。事実であることだけでは公開の正当化につながらない場面や、他人の画像・文章の利用が問題となる場面もあります。相手が主張する権利の種類を確認し、ネット上の回答例をそのまま転用しないようにしてください。
心当たりがない場合も、確認した範囲を伝える
自宅の回線を家族で利用していた、事業所の回線で複数人が接続していたなど、契約者と発信者が異なる可能性もあります。対象日時に自分が利用していた端末や場所を確認し、分かる範囲の事情をまとめます。誰かが投稿したはずだと推測で特定したり、事実と違う説明を合わせたりしないでください。
保存は、適法に確認できる範囲で
家族や同僚の端末・アカウントへ無断でアクセスして調べることは避けてください。自分が保有する契約資料、端末の記録、対象書面を基礎にし、他人の情報が必要な場合の確認方法は弁護士に相談できます。記録の書き換えや削除によって説明の根拠を失わないことも大切です。
期限を確認して、必要なら回答方法を相談する
回答期限は受け取った照会書で確認します。標準的な書式に期間が示されていても、すべての事業者・案件で同じ日数とは限りません。資料が届いていない、対象の記載が読めないなど、回答できない事情があるときは、期限前に照会元へ問い合わせ、やり取りを保存しましょう。
対象資料と期限を確認する
別紙を含めた書面一式を確認します。不足があれば照会元に尋ね、弁護士へ相談する際にも受領日と回答期限を先に伝えます。
回答の内容と提出を記録する
同意・不同意だけでなく、その理由と根拠資料が対応しているかを確認します。提出した回答書と、送付・受付を確認できる記録を残します。
期限延長をお願いしただけで、当然に待ってもらえるわけではありません。延長が認められたか、いつまでに何を出すかを確認します。また、回答書に個人的な事情や第三者の情報を書く場合には、誰に伝わる可能性があるのか、取扱いを事業者へ確認することも大切です。秘密が守られると自己判断して大量の情報を添付しないようにしましょう。
同意しない理由は、対象の投稿をしていない、権利侵害の主張に争いがあるなど、実際の事情に沿って整理します。手続を止めたいからという理由で事実を否定することは適切ではありません。反対に、不安から内容を理解しないまま一切の責任を認めたり、直接相手へ連絡して支払を約束したりする必要もありません。
- 当事務所では、照会書の対象を確認し、開示の問題と、その後の損害賠償・示談の問題を分けて相談を進めます。依頼範囲が回答書の検討までか、交渉までかによって費用も変わります。受け取った書面を持参し、希望する対応と費用の見通しを確認してから依頼を検討できます。
相談時には、対象投稿を一件ずつ分けた一覧が役立ちます。書面に記載された日時と手元の履歴にずれがある場合は、表示の時差や、投稿時の通信なのかログイン等の通信なのかも確認事項になります。数字が一致しないことだけで別人と結論付けず、何を示す情報なのかを照会元に確かめます。
書面を相談先へ送るときは、別紙や裏面が欠けないようにしてください。回答欄だけでは、問題とされる投稿や開示対象の範囲を判断できないことがあります。原本は保管し、渡した写しの範囲も記録しておきましょう。
相談前の整理
対象投稿、開示される情報、回答期限を確認し、事実に沿った意見を整理しましょう。回線の契約者というだけで投稿者と決めつけず、書面一式を基に対応を考えます。
よくある質問
同意しないと答えれば氏名や住所は開示されませんか?
不同意でも、法律上の要件を満たすと判断されれば開示されることがあります。不同意の理由と資料を具体的に整理することが重要です。
意見照会は無視してもよいですか?
回答しなければ手続が終わるとは限りません。意見を示す機会を失うこともあるため、期限と対象を確認しましょう。回答が難しい事情は照会元へ伝え、対応を相談してください。
家族名義の回線から投稿した場合はどうなりますか?
契約者と実際の発信者が異なることがあります。書面の案内に沿って関係を確認し、事実に即した回答を検討します。他の人に責任を引き受けてもらうような説明は避けてください。
投稿を削除すれば開示請求も終わりますか?
削除と開示は別の問題です。すでに保存された情報などに基づいて手続が進む場合があります。被害拡大を防ぐ対応と、対象投稿の内容・経緯を確認できる資料の確保を両立させましょう。
開示に同意すると、請求された賠償金を支払う義務が決まりますか?
情報開示への同意と、損害賠償の責任や金額の判断は別です。ただし回答内容が後の交渉で問題になることもあるため、何に同意する書面なのかを確かめてください。
新都心法律事務所では、依頼するか決める前のご相談もお受けしています。初回相談は無料を基本としていますが、遅い時間や休日は事前にご了承いただいたうえで、30分経過後は30分5,500円(税込)をお願いする場合があります。予約時にご確認ください。ご依頼の費用は、対応範囲を整理して事前にご説明します。
電話でのご予約:0120-401-604。費用が気になる方は弁護士費用もご確認ください。

