2024.2.10 正木ブログ
家庭裁判所物語
今年の前期に放送される予定のNHKの連続テレビ小説「虎に翼」の主人公のモデルになっているのが、女性法律家第一号の1人として著名な三淵嘉子さんです。
ドラマの影響もあって、三淵嘉子さんに関する本はこれからも多く出版されることになるでしょうが、既に出ている本で有名なのが、清永聡さんの『三淵嘉子と家庭裁判所』かと思います。
私自身まだこの本は読めていないのですが、同じく清永さんが書かれた『家庭裁判所物語』を先日読ませていただきました。
家庭裁判所は、近年の離婚の増加、子供に対する男性側の意識の高まりなどもあり、事件数が増加して調停期日はなかなか入らない、大変な状況になっております。他方で、少年事件と家事事件、関連してそうではあるけれどもなぜこれらを地方裁判所でやらないのか、と不思議に思う部分もありました。
この本では、第二次世界大戦後、家庭裁判所の創設に関わった方々(三淵さんも含まれます)の奮闘、少年事件に関する裁判所と検察庁の綱引きの様子などが書かれており、大変興味深いです。
現在の実務は、家事事件・少年事件ともに地方裁判所の事件に近づいていっているように思われます(特に、事件数の増加によって調査官の方々のマンパワーが不足しているのが気になります)。家庭裁判所の存在意義については様々な意見があるでしょうし、特に少年事件については大きな事件が起こるたびに少年法批判とセットで厳罰化論が巻き起こります。
様々な考え方はあり得るところですが、実務家としては、家庭裁判所の意義・役割をふまえて、今ある家庭裁判所を利用することで、よりよい事件解決の道を探っていきたいと思うところです。