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正木ブログ

児島惟謙と花札賭博

現在,週刊誌報道を機に検察官の賭け麻雀が問題になっております。

事実関係は分からないので,現時点ではこのことの是非を論じる立場にはありませんが,今回,賭け麻雀が話題になったのをみて,児島惟謙のことを思い出しました。

 

児島惟謙は,義務教育でも習う,おそらく日本で一番有名な裁判官です。明治24年に発生した大津事件の刑事裁判に際し,ロシア帝国皇太子ニコライの殺人未遂について大逆罪(最高刑死刑)を適用すべし,とする行政府に対し,司法府を代表してそれを拒絶し,「司法の独立を守った」と高く評価され,同時に日本の法的な近代化を象徴する事例として有名になっています。義務教育で習うのも,この観点からです。

なお,この判決に際し,児島惟謙は事件を担当していた裁判官に対して圧力を加えていたとされ,「司法の独立」の一要素である「裁判官の独立」は大いに侵害していたようです。

 

この児島惟謙が裁判官を辞める契機になったのが,「司法官弄花事件」という事件です。「弄花」というのは聞き慣れない言葉ですが,花札で賭けることを意味する言葉です。

児島惟謙は花札賭博をしていたという疑いをかけられ,これに対して「花札はしていたが賭博はしていない」と主張したようです。しかし,最終的にこの事件を機に裁判官を辞職しています。

今回,雑誌で取り上げられたのは検察官ですが,一般に「堅い仕事」と思われている裁判官や検察官がこのようなかたちで職を失うことになるのは,なんとも残念です。

 

児島惟謙の頃とは法律は違いますが,言うまでも無く賭博は,今でも刑法で禁止された行為であり(刑法185条),日本では法律上認められている公営賭博以外は原則として禁止されています(例外は一時の娯楽に供する物を賭けたとき)。ギャンブルに興味がある方は,合法的に賭けられる方法で楽しみましょう(今週末はオークスです!)。

 

ちなみに,児島惟謙は愛媛県の宇和島の出身です。宇和島城の城山を搦手側に下りていくと,彼の銅像に出会えます。

 

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