2022.6.20 企業法務
食べログに対する損害賠償が認められた東京地裁の判決について
先日、韓流村というチェーン飲食店を経営する企業が、食べログに対して、不当に点数を下げられたとして、損害賠償を求めていた事件において、東京地裁が飲食店側の主張を一部認め、食べログに対し、一部、損害賠償金の支払いを認めた。というニュースがありました。
飲食店さん、みなさん、食べログの点数気にされますね。当然です。
その飲食店の名前で検索すれば真っ先に食べログが引っ掛かることが多いですし、食べログで悪い評価、つけられても、反論が難しいですし。
ただ食べログは、飲食店が食べログにカネを出せば評価が高くなる。。。みたいなうわさもずっとありました、あの点数は、やらせだとか。
それで、きっと、この韓流村さん以外にも、食べログの点が落ちたことを気にしておられ、この判決を機に、食べログから賠償をとれるんだ！訴えたい！！とお思いの飲食店さん、多いんじゃないかと思います。
私も、まだ判決全文に目を通していないので、確かなことは言えませんが、しかし、この判決で「俺も、俺も」と、二匹目のどじょうを狙うのは、結構、大変なんじゃないかなと思います。韓流村さんが勝てたからと言って、他の飲食店さんもおなじように勝てますよ、と、気楽にお約束するのはちょっと、無責任かなと。
もちろん場合によってはできるケースもあると思います。検討する価値はあると思う。でも、そんな簡単ではないとおもうんですよね。だいたい、韓流村さんは、約６億４０００万の賠償を請求して、判決で認められたのは、たった（？）約３４００万です。請求額の１割にも満ちません。
これはつまり、不法行為の存在が認められたからと言って、損害の発生と、その因果関係が認められるとは限らない、ということです。たぶん、ですが、韓流村さんの弁護士の先生も、そのあたり苦労されたんじゃないかなと思います。
「これは過払いとおなじ！みんな勝てる！訴訟が相次ぐでしょう！」とあおっておられる弁護士の先生もおられるようですね。ネットニュース観ました。でも、そんな簡単に、安請け合いしちゃっていいのですかね。と、同業者としてはちょっと心配になります。
ただ、これを機に食べログはちょっと、反省してほしいとは思います。口コミが許されるのは、公共の利益にかなうからです。それを、自社の利益のために歪めちゃあ、いけません。飲食店さんに迷惑であるだけではなく、我々消費者も大変に迷惑です。これは飲食店の口コミサイトだけではなく、美容室理容室とか、他の口コミサイトにも言えることですが。
個人的には、グーグルマップの口コミの方がまだましだと思ってます。どうしても気になる、訴えられるかどうか、調べたいという方はご相談ください。
ただし、提訴する場合には弁護士費用も掛かります。その点も踏まえて、ご判断いただければな、と思います。
