2024.12.6 法律相談
決断できないあなたへ|選んだ道を正解にする覚悟
当たり前のことですが、いざ、問題が起こった時、誰かが何かの決断をしなければ、問題は解決に至りません。問題がスピーディに解決するかどうかは、この決断の速さに大きく依存します。
ところが、やはり決断するというのは勇気がいるもので、皆さん、なかなか決められない方が多い(逆に言うと、決められる方は、弁護士のところに来る前に、既に問題が解決していることも多いのです)。
私が観察する限り、「決められない」という方は、男性にも女性にも、等しく存在します。
ただ、「決められない」の在り方が、男性と女性では、若干、傾向が違うように思うのです。
男性の「決められない」族は、文字通り決められない。
「先生、どうしたらいいでしょうか」
「いや、それはもう、ご自身でお決めいただくしかありません。Aか、Bかです。メリットデメリットはご説明したとおりで、あとは、ご決断です。」
「…それで、どうしたらいいでしょうか」
「…いや、それはもうご決断ですから」
「先生…」
これが、延々と続きます。
弁護士として、これにどこまで付き合うかは、難しい問題です。我々弁護士は、ご本人の代わりに決断してあげることはできません。
一方、女性の「決められない」族の場合、
「先生、Aにします。」
「了解です。ではその方針で進めましょう。」
「先生、やっぱりBにします。」
「…そうですか。では、そうしましょうか。」
「先生、やっぱりAにします。」
「…」
これが、延々と続くことが多いように思います。つまり、決めることは決めるのですが、その決断がとても軽く、ころころ変わる。あまり「決断」が変わると、それはもはや決断と呼んでいいのだろうか…ということになってしまいます。
弁護士として、これにどこまで付き合うかも、難しい問題です。弁護士は、お客さんの決断に沿って作業を進めています。すでに進んでいる作業が、「決断変更」で、無駄になるわけですので、こちら(弁護士側)も、けっこうガクッと来ます。精神的に消耗するのです。
ところが、主に男性において、この「決められない」族が、突如、勇猛果敢に決断し、行動になだれ込む局面があります。それは不貞に及ぶ時で、まあ、これは彼の決断力というより彼の下半身の決断力、なのかもしれません。
だが、この下半身の決断力というのは実に一瞬で、以後、再び永い眠りに入ってしまいます。したがって、不貞関係を続けるとも、やめるとも、決められない。離婚するとも、しないとも決められない、という状況におちいる男性は非常に多い。惰性でずるずると不貞関係を継続し、妻にバレる。
そうなると、
「先生、どうしたらいいでしょうか」
「いや、それはもう、ご決断です。」
という会話が繰り広げられることになるのです。
ですが、これはもう、どっちが正解か、なんて考えても判らない話です。離婚したほうが幸せか、離婚しないほうが幸せか、とか、そんなことは考えても判りません。ましてや、赤の他人である弁護士にわかるはずがないんです。
選んだほうを、正解にしていただく、しかありません。何が何でも、自分の選んだ道を正解にしてやろう、と覚悟を決めていただくしかないんです。問題は、その覚悟を決められるかどうかです。覚悟さえ決めて、そちらの方向に全力で、わき目もふらずに進むことができれどちらにいこうと、その道が正解なんです。
高村光太郎は、僕の前に道はない。とうたいました。
しかし、この局面では、あなたの前には、道しか、ない。
あなたが自分の手で、それを正解にするほかに、道はないんです。
頑張ってください。