2023.9.14 離婚問題
結婚はいつでもできるが離婚はいつでもできるわけではない
離婚したい!と思い、弁護士を委任し、離婚調停、離婚訴訟、と手続きを進めながらも「これで本当にいいのだろうか??」と迷いが生じる方はたくさんいらっしゃいます。
特に、お子さんのいるお母さんは、「子どものために、やはり離婚しない方がいいのだろうか…」などと迷われることがあります。
特にお母さんが、子どもとお父さんとの面会交流にきちんと応じておられるケースで、お子さんが面会交流から帰ってきて、「楽しかった」「またパパと会いたいな」などと言ったりすると、お母さんは本当に悩まれます。子どもから父親を奪うことになるのではないか。。。両親揃っていることが子供の幸せではないか。。。。などなどです。当然のお悩みとも言えます。
が、です。いったん起こした離婚訴訟や離婚調停を取り下げられることには、どうぞ慎重になってください。
それは、せっかく積み重ねてきた訴訟・調停手続きが「無駄」になるから、というだけではありません。
ひとは変わらないものです。もう一度元のさやに戻っても、相手は変わっていません。相手は変わってくれる、と期待してはいけません。
元のさやに戻ってうまくいくとすれば、それは相手が変わることを期待するのではなく、自分を変えなくてはなりません。
今までの結婚生活で、相手の許しがたかったところを許し、全部受け入れる。こういう人だと重々わかったうえで、また、一緒になると決めた以上、もう、決して、文句を言わない、という覚悟が必要です。
これはなかなか大変な覚悟です。いったん戻ってみたものの、いやなものはやはり嫌で「あのとき、手続きを取り下げずに、離婚しておけばよかった…」と後悔しても、覆水盆に返らず。です。
逆に、一度離婚しても、その後、同じ相手とよりを戻し、再婚される方はそこそこいます。特に、離婚後お子さんの面会交流を重ねるうちに、自分の意識も変わり、自分の悪かったところも見えてきて、率直に反省できる。その一方、子どものことで連絡を取り合ううちに、相手の意識も変わったことが確認できた。そこで、もう一度やり直そう、という機運が高まることはあります。
その時、再婚すればいいのです。
結婚は、一度離婚した後でもできます。特に苦労することはありません。
が、離婚は、いつでもできるわけではない。やってみれば判りますが、離婚調停、離婚訴訟、と進めて離婚にこぎつけるためには、膨大な苦労と、金銭と時間を要するものです。場合によっては、ご自身のお子さんはもちろん、ご実家も巻き込むことにもなります。
このまま、離婚に突き進んでしまっていいのかと、お迷いになることは自然です。ただ、一度始めた手続きを取り下げる、という判断は、慎重になさってください。それは、お子さんをもう一度悲しい目に会わせないためでもあります。