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コラム

離婚問題

長期別居のいろいろ

長期別居のいろいろ

離婚調停が不成立(不調)に終わったとき、しばしば、お客さんから「先生、このあとどうなるんでしょうか」と聞かれます。
離婚調停不成立のその後は大きく二つに分かれます。
その1は、どちらからにせよ、離婚訴訟が提起され、法廷で離婚が争われるケースです。
その2は、どちらからも離婚訴訟が提起されない。つまり、当面(離婚調停不成立後2年以上)、戸籍上は夫婦のままで、別居生活が続く。というケースです。

後者については、いろんなパターンがあります。
子ども含め、もう、一切関係を持たないパターン。婚姻費用の振込だけが毎月続いてるが、それ以外は、別居しているのとまったく同じ状況、というパターンです。
もう一つは例えば冠婚葬祭などには夫婦として出席し、親・親戚の前ではするが、それ以外は全く連絡を取らない、というパターン。
さらに、親戚のことに加え、子どものこと(受験や運動会など学校のことや、日常的な面会交流など)については普通にやり取りをするが、夫婦としての情愛はない。というパターンもあります。
別居のみを継続し、離婚しない、となると、配偶者が支払いを得るのは養育費(子どものための費用のみ)ではなく、婚姻費用(家族のための費用。子どもがいない夫婦であっても配偶者には支払われます)になります。したがって、婚姻費用を支払う方からすると、同居もしていないのに高い費用を支払い続ける、ということになります。
このため、婚姻費用を支払う側の配偶者(多くの場合、夫)にとって、経済的にはデメリットですが、「親族の手前離婚したくない」「意地でも離婚したくない」「離婚したら、配偶者とその浮気相手が結婚することになる。それだけは絶対認めたくない」という方は、この途を選択することがあります。
一方、婚姻費用をもらう側にとっては、「別居はするが離婚はしない」という選択肢は、多くの場合歓迎すべきものです。嫌な配偶者の顔は見なくていい、カネは大目にもらえる。となれば、なるべくこの状態を続けたい、という気持ちになるのは当然でしょう。

ただ、この「長期別居」には、リスクもあります。
そのうちの一つが、「別居していて気が付かないうちに、配偶者が借金を作っていた。そして、そのまま死んでしまった」というものです。
どれだけ長期別居していても、配偶者は配偶者です。死ねば相続が発生し、配偶者は相続を放棄しない限り、借金を相続することになってしまいます。死んだ後の住まいの片づけなども大変です。
長期別居していて、気が付かないうちに、配偶者が怪しい宗教に入り、全財産をお布施してしまって借金しか残らなかったうえに、死後、遺骨や葬式などを巡って教団とおおもめにもめて、疲れ果ててしまう。ということもあります。
似たようなケース、と言ってしまっていいのかどうかわかりませんが、もっとよくあるのが、「別居しているうちに配偶者に交際相手ができ、そのひとが事実上、配偶者のようになり、子どももできていた。配偶者が亡くなって初めて、そのことが分かった」というケースです。これは、借金が判ったとかそういうケースよりは、経済的な損失は少ないですが、知らないうちに相続人が増えていて、自分の相続分が減っていた、ということになります。これもまた、感情的には揉めます。どれだけ配偶者としての情愛は消えていても、戸籍上は夫婦である。だほかの異性と子をなすことは許せない。その子のせいで、自分や、自分の子どもたちの相続分が減ることはもっと許せない。。。という気持ちになる方は、多くいます。

なので、「長期間別居をつづけるが夫婦のまま」というのは、一見、いいことづくめのように見える、特に、婚姻費用をもらう側(多くの場合妻側)にとっては、メリットが大きいようにも見えますが、いざというときには大きな紛争になる可能性も、あるのです。

調停不成立後、どうするか。このまま別居生活を続けるか、離婚訴訟に踏み切るか。という点で、お悩みの方は、このようなリスクもよくよくお考えになって、後悔の残らない決断をなさってください。

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