2024.1.11 法律相談
裁判との付き合い方
新年早々、ある有名な芸人さんが、「裁判に注力したいから活動休止」と発表されました。
まあ、裁判に注力したいから。。。というのは、表向きの理由で、活動を停止される本当の理由は、ほかにもいろいろあるんだろうと思います。
一方、たとえば「裁判と仕事」「裁判と子育て」「裁判と介護」…などなど、裁判と、日常生活とのバランスのとり方、というのは、一般の皆さんにとってはなかなか難しい問題です。
確かに時々お客さんの中には、あの、あなたの裁判なんですから、もっとちゃんと資料だして、メール見て、打ち合わせにも来てくださいよ、頼んますよ。という方もいます。もちろんお仕事や子育てなどでお忙しいのは判ります。それに、裁判のことをできるだけ考えたくない、というお気持ちから、無意識に裁判の準備などを避ける、後手にまわしてしまう、というのもよくわかります。裁判のことなんて、だいたい、考えていると気分が悪くなることですもんね。なので、あまり強く「早く資料出してくださいよ!」とか、できるだけ言わないようにはしています。
一方、逆に、ものすごく裁判にのめりこみ、仕事も家族もそっちのけ、一日中裁判のことを考えてしまう、という方もいます。それはそれで、問題です。そういうケースでは、えてして、良からぬことが起こります。
やはりご本人はご本人なので、当然、事件を客観的に眺めることは難しいものです。そんなご本人が事件にのめりこめばのめりこむほど、客観性は失われてしまう。考えれば考えるほど、相手が悪い!自分は悪くない!!!となってしまう。そうなると、事件の落としどころや自分の弱みが見えなくなってしまい、事態が悪化することがあります。また、事件に夢中になりすぎて、もはや事件が生きがいのようになってしまい、事件を終わらせられなくなることもあります。
当たり前ですが、本を読もうとして、頁に鼻先をくっつけるほど目と本を近づけてしまうと、字が読めません。本にくっつきすぎると、本が読めないのです。。本を読むためには、目と本の間に適切な距離が必要です。また、時には、すでに繰った頁に遡って今までのストーリーを遡ったり、いったん本を閉じてコーヒーでも啜って、頭の中を整理することも必要です。
事件も、これと同じです。、事件に「どっぷり」になってしまうと、事件の筋が読めなくなってしまいます。
なるべく体力や精神力、時間などを使わずに、事件を早く終えるためには、冷静に事件を分析することが必要で、そのためには、事件と自分との間に、ある程度の距離が必要だし、時には事件から離れてみることも大事です。そういう意味で、「仕事」や「子育て」「家事」などは、いやおうなしにご本人と事件との間の距離を作ってくれる、調整弁のようなものでもあります。
あと、この芸人さんの件、まだ、誰も裁判を起こしていません。
なので、いまから心配するにはまだまだ早い。早すぎます。訴訟になるなら、この件はどうせ、超長期戦になるでしょう。いまから、勇み足を踏むべきではありません。むしろ、気長に、のんびり構えられることを、陰ながら、お勧めしたいと思います。