2020.5.12 企業法務
従業員がうつ病になったらどうすればいい?知っておきたい3つのこと
人はいつでも元気であるとは限らず、場合によってはあなたが雇っている従業員がうつ病になってしまうおそれもあるため他人事ではありません。万が一従業員がうつ病にでもなってしまった場合、今までと同じような業務をお願いできるとは限らず健康面などに配慮しながら業務を任せる必要があります。今回のコラムでは、もし従業員がうつ病を発症しても慌てないように知っておくべきポイントを中心に解説いたします。
従業員がうつ病になったときに押さえておきたいこと
従業員がうつ病を発症したらまず診断書を提出してもらうことも大切ですが、診断書を出してもらったら終わりというわけにはいきません。今までどおりの仕事を依頼してもうまくいくとは限らず、以下のような点に注意しながら一緒に従業員の健康を考えつつ勤務を考えてあげましょう。
無理な出社を強要しない
まず第一にうつ病を発症している従業員に無理な出社や勤務を求めるのはやめましょう。うつ病はいわば心への負荷が過大になったことで発症していると考えら、ストレスを伴いやすい出社や仕事はかえって症状を悪化させるだけなのです。たとえばうつ病は身体的な変化はないため「明日からもよろしく」と景気づけに声をかけてしまうようなケースであっても、労働者としては重い気持ちになって逆効果になります。雇用契約があるので労働してもらうのは当然ですが、無理をしてまで働かせるのはのちのちに会社への不利益を招くことにもなるため権利であっても一度立ち止まって考えなければなりません。
無闇に励まさない
うつ病患者に対してしてはいけないことに、無闇な励ましがあげられます。先のとおりうつ病を発症している人は今まで最善を尽くしてきたのに心を病んでしまっているので、それ以上の励ましをされてもかえって負荷になるだけです。禁句としてよくあげられ社内でもよく使われる言葉に「がんばってね」がありますが、うつ病患者からしたら「これ以上なにを頑張れっていうの?」と捉えられて症状を悪化させてしまいます。第三者としてはうつ病に負けないように励ましたいという気持ちもあるでしょうが、当人からすると余計な励ましは逆効果になるので、なにか声をかけるにしても言葉を選ばなければなりません。
解雇をちらつかせない
会社も善意で労働者を雇っているわけではないので中には解雇を検討する人もいらっしゃるでしょうが、うつ病を発している人に解雇をちらつかせるのは賢明ではありません。労働力を満足に提供できない場合は解雇の余地がありますが、うつ病など病気が原因で労働力が提供できない場合は、疾患を理由に解雇することは許されないのです。くわえて解雇をするにあたり労働者に面談を持ちかけることが大半でしょうが、弱っている当人に解雇の打診は精神的攻撃と捉えられパワハラにもなりかねないので、下手に切り出すのはナンセンスといえます。「働いていないのに給料を払うのはちょっと…」と思うかもしれませんが、労働力の提供がなければ給料は支払わなくてもいいので(ノーワーク・ノーペイ)、まずは長い目で様子をみてあげるとよいでしょう。
うつ病問題を大きくしないために
労働者がうつ病を発したら当人だけの問題では済まずに、今後どうすればいいのか、処遇などはどう考えるべきなのか企業側にも対応が求められ問題が肥大しがちです。労働者がうつ病を起こす前に、日頃から以下のような対応を視野にいれながら、うつ病がいつ起きてもすぐに対応できるよう環境を整えておくことが重要でしょう。
就業規則を整備する
労働者を10人以上雇っている会社であれば就業規則を備え付けていらっしゃるでしょうが、うつ病を起こした場合の処遇などをあらかじめ定めておきましょう。就業規則はいわば会社のルールなので事前にうつ病の条項を定めておくことで、後手後手の対応、問題の肥大化を防ぎスマートな動きを実現できます。たとえばうつ病で休業すれば給料は支払わなくてもいいですが、社会保険料は引き続き会社負担のもと支払いが発生するので、社会保険料はどのようにするか定めておくケースがあげられます。うつ病など実際にかかったことがないとどのようなことを定めればいいかわからないものですが、そのような場合は以下のように弁護士に相談するとよりより就業規則を制定できるため相談してみるといいでしょう。
弁護士に相談する
就業規則の変更や実際にうつ病の兆候がある労働者が出た場合は、弁護士に相談するのもひとつの手でしょう。経営者だけの判断はときに労働者にとって不利になり、場合によっては会社を訴えられるリスクを伴うため、知識のある弁護士に相談することでより的確な対策を練ることができます。たとえば何も知らずにうつ病を理由に解雇してしまうと、不当解雇やパワハラとして訴えられて問題を大きくしてしまいますが、弁護士に相談しておけばこのようなよくない対応をするリスクを減らせられるでしょう。弁護士への相談はお金がネックにお考えの方も多いでしょうが、法人からの相談であっても初回相談無料などを実施している事務所もあるので、そこまで負担になる心配もないのでご安心ください。
まとめ
従業員がもしうつ病になったとしても、無理な出社を求めたり下手な励ましの言葉、解雇を推察させるような言葉はかけないようにしなければいけません。しかし労働者がうつ病を起こしてしまえば何をすべきかわからず、手をこまねいてしまう経営者もいらっしゃるでしょうから、当事務所のような企業法務の実績が豊富な弁護士に相談されることをおすすめいたします。当事務所は事前にご連絡をいただければ終業後の夜間などのご相談もお引き受け可能ですので、将来に備えるためにぜひ一度ご相談にこられてみてはいかがでしょうか?