2020.5.8 企業法務
【パワハラ?】会社から退職を勧められたときに思い出してほしいコト
誰がいつ会社を解雇されても不思議ではありませんが、中には解雇ではなく退職したらどう?というニュアンスの話を会社から切り出されてお困りの方も多くいらっしゃいます。いわゆる退職勧奨は解雇ではないものの、ときに退職勧奨に攻撃的な表現や言動が含まれあなたの精神をむしばむため、単なる勧奨であってもパワハラになる場合があるのです。今回のコラムでは労働者の頭を悩ませる退職勧奨の性質や、パワハラになるかどうかの基準をピックアップしてご紹介いたします。
退職勧奨は応じなければいけない?
結論からお伝えすると、退職勧奨をされたとしても応じる義務はありません。退職勧奨はあくまでも「退職してみない?」という誘いであって、強制力を伴わないのでたとえ従わなかったとしても不利益にはならないのです。たとえば「君ね、最近成績悪いけど働く気ないなら今後を考えたら?」のような間接的に転職をすすめられたとしても、解雇のような法的強制力はないので従わなくても問題ありません。退職勧奨をするケースではおよそ労働者側が問題を抱えて会社があぐねているケースでは、解雇に切り出すおそれもあるため必ずしも安泰というわけではなく注意しなければいけません。
退職勧奨は場合によってパワハラになる
退職勧奨をされても拒んでいる人もいらっしゃるでしょうが、ときに退職勧奨という枠を超えて精神を攻撃するような言動によってお困りの方もいらっしゃるでしょう。退職勧奨という大義名分があったとしても、以下のような要素が含まれていると退職勧奨であってもパワハラになり得るのです。
長期間にわたって退職勧奨を受けている
退職勧奨が一回二回程度であればまだしも、長期間に渡って退職勧奨をする行為はパワハラに認定される可能性があります。しっかりと働いていて、しかも退職しない意思を示しているにも関わらず退職勧奨を長期間にわたって実行するのは精神を病ませる原因にもなるためなのです。たとえば1週間に1回のペースであなたを会議室などに呼び出して、「どう?考えは変わった?」などとしつこく勧奨してくるケースがあげられるでしょう(2001年全日空事件)。連日でなければパワハラにはなりそうにないイメージがありますが、週一回でも数ヶ月に渡って続けばストレスにもなりますし、決して許容される行為ではないのです。
人格を攻撃するような言葉を投げつけられる
退職勧奨の中には過激な言葉で労働者自身を攻めるような話をする方もいらっしゃいますが、このようなケースもパワハラに認定される余地があります。退職勧奨という名前を借りて本人(人格)を攻撃するのは、そもそも退職や業務とは関係のないことであり、会社という立場を利用した精神攻撃であるためです。たとえば「なんで会社やめないの?頭悪いから理解できない?」など侮辱するような言動が含まれるケースはパワハラに認定される可能性があるでしょう。悪質な人であればパワハラにならない言葉選びで口撃してくる方もいますが、しっかりと録音をして証拠を揃えておけば、裁判をしてもパワハラが認められる可能性はありますので最初から諦めないことが大切です。
業務から切り離してわざと孤立させる
退職勧奨はかならずしも話し合いや言動だけでなく、仕事をわざと与えず孤立させる、いわば間接的に退職勧奨をおこなってくる場合もありますが、このようなケースでもパワハラが認定される余地があります。言葉に出さなくてもわざと仕事を与えなければ「自分は会社に必要とされていない」と考えて自分で自分を責めて精神を病ませる結果を生んで労働者を衰弱させてしまうからです。たとえば面談で退職勧奨を断った翌日から急に倉庫で座って待機してくれというような業務命令を発して、なにもさせないようなケースがあげられるでしょう。何もせずに給料がもらえてラッキーと思う人もいるでしょうが、これが数ヶ月以上続くと退屈さがかえってストレスになり精神的負担になってしまうため簡単に捉えられるものではないのです。
退職したくないならば弁護士へ相談を
退職勧奨は必ずしも従う必要はなく辞める意思もないのであれ、早めに弁護士に相談・依頼をしておくとよいでしょう。弁護士へ依頼するとあなたの現状を分析しなにが必要か、どんな対策をすればいいか、また場合にって交渉してくれるので、退職という最悪の結果にならないようより適切な行動をすることができます。たとえばパワハラ認定の諾否を握る証拠がなにかを教えてくれたり、今後考えられるであろう会社側の行動を想定して手続きを準備するようなケースがあげられるでしょう。弁護士に依頼するとお金がネックで依頼できない方もいらっしゃるでしょうが、事務所によっては分割払いなど柔軟に対応してくれる弁護士もいらっしゃるので、支払い面も含めて相談してみるのがおすすめです。
まとめ
退職勧奨は退職に応じる義務はなく、法的効果もないため拒否したとしても責められるというわけではありません。しかし悪質な会社では繰り返し退職勧奨をしてくるところもあって、勤務が嫌になるという場合もあるため侮っていてはいけないのです。当事務所ではそんな不当な退職勧奨やパワハラのような違法行為の問題を抱える多くの方からご相談を受けている実績があり、あなたのお悩みを解決する糸口をお示しできる可能性があります。ひとりで悩まずに、まずはお気軽にご相談にこられてみてはいかがでしょうか?