2020.9.11 企業法務
解雇を言い渡されたら確認すべき3つのこと
大企業ですら倒産する時代の到来により、いつ誰が解雇を言い渡されてもおかしくはありません。
職を失えば生活費がなくなるに等しいですが、もし解雇を言い渡されたとしても労働者が不利にならないように解雇予告手当というお金を請求することができ、貧困化を回避することができます。
今回のコラムでは解雇予告手当がどのようなものなのか、また請求する際に確認しておきたい3つのことをピックアップしてご紹介いたします。
解雇予告手当とチェックすべき3つのこと
解雇予告手当は文字どおり、解雇を言い渡される労働者に支払われるお金です。
突然会社を辞めさせられば労働者は路頭に迷うことになりますが、このような窮地を防ぐために労働基準法では解雇予定日から30日よりも早く退職させた場合は1日につき手当を支払わなくてはなりません。
たとえば1月1日に「明日から来なくていい」と言い渡された場合は、30日後である1月31日を待たずに解雇されたので、30日分の予告手当を支払ってもらえるのです。
解雇予告手当は労働者であれば当然の権利ではありますが、解雇予告手当をより理解するためにも以下の3つは確認して知識を深めておくようにしましょう。
適切な解雇であるかどうか
まずは言い渡された解雇が適切であったかどうかを確認しましょう。
解雇予告手当があるにしても将来必ずしも収入源が確保できるとは限らず、相手の主張を甘んじて受け入れるのはリスクが高いです。
たとえば「お前は仕事の効率が悪いから退職してくれ」といわれると退職を考えてしまいそうですが、効率が悪いだけで仕事ができないわけではないので、このような理由で退職させられるのはあまりにも不当でしょう。
もちろん能力不足が著しい場合は辞めさせられるおそれはありますが、新卒のように就業経験がないような人を能力不足として早々に退職させるのは難しいので、相手の主張を鵜呑みにして従う必要はないのです。
解雇予告手当の支払い対象者かどうか
労働者であれば誰でも支払ってもらえそうですが、支払い対象者でなければ請求することはできません。
予告手当の金額を計算するには直近3ヶ月の給料総額を直近3ヶ月の総日数で割るので、2ヶ月しか働いていない場合は計算がそもそもできないので対象者にはならないのです。
たとえば1月1日に勤務を開始して、2月1日で退職するような短期間労働者の場合は適切な解雇であっても請求することはできません。
企業によっては採用当初は短期間だけでもそのまま長期雇用に移行する場合もあり、この場合は通常の労働者と同じように予告手当は支払われるので、当初の採用事情だけで判断はしないためご安心ください。
解雇日はいつか
解雇予告手当を請求するにしても、退職日がいつなのかを把握しておくのは大切です。
手当でもらえる金額は、解雇予定日30日よりも早く解雇した日ごとに計算するので、自分がいつ退職になるのかを理解しておかないと手当の計算ができません。
具体的には「会社を辞めてくれ」と言われた場合は肝心の退職日が明らかではないので、解雇予告手当を請求したくてもできないケースが挙げられます。
その場で「今日解雇ですか?」と聞けば問題はありませんが、突然の解雇を言い渡すような人は穏やかではないことが大半なので、ほとぼりが冷めた頃に確認するよう心がけるといいでしょう。
解雇予告手当の他にも失業保険の検討も
解雇によってもらえるお金は解雇予告手当のほかにも、失業保険を請求してお金をもらうというテクニックもあります。
失業保険(雇用保険)とは31日以上の労働契約が見込まれる労働者全員が加入する保険で、会社都合で退職になった場合は申請してから7日後に失業手当をもらうことができるのです。
たとえば会社の経営が難しくなり、会社存続のために仕方なく解雇された場合が失業保険の対象にあげられるでしょう。
失業保険は多くの人が加入していますが、加入期間が12ヶ月未満の場合は失業手当の給付対象者にはならないので、必ずしも失業手当がもらえるというわけではない点に注意しなければいけません。
失業保険が認められれば90日以上の失業手当が支給される余地があるので、解雇予告手当とともに覚えておくといいでしょう。
失業保険でもらえる金額
失業保険でもらえる金額は、あなたの給料や勤続日数によって変わります。
たとえば20代の平均年収である345万円の場合、月収に換算するとおよそ28万円です。28万円の月収で5年間勤務していた場合、会社都合によって退職していれば総額81万円の失業手当が支給されることになります。
解雇予告手当だけだと給料1ヶ月分程度だけで終わってしまいますが、上記のケースでは当面の生活費に充当することもできると言えるのです。
失業保険の手続きは面倒そうと思われがちですが、所轄がハローワークなので職員に聞けば丁寧に教えてくれるので安心して利用するといいでしょう。
まとめ
万が一解雇されたとしても、解雇予定から30日よりも早く解雇された場合は1日早まるにつき解雇予告手当を請求できる救済措置が存在します。
しかし解雇といえども中には不適切な理由で退職を迫る企業もあるため、すべてを甘んじて受け入れる必要はなく、解雇の無効を争っていくこともできるのです。
労働者対使用者では労働者が不利になりがちですが、労働問題の相談実績が豊富な当事務所の弁護士にご相談いただければ解雇を撤廃してもらえる可能性があります。
事前にご連絡いただければ土日のご相談も可能ですので、ぜひ一度お問い合わせください。