2020.7.14 企業法務
突然の出勤停止命令!手当はもらえる?知っておきたい基礎知識を解説
2019年の暮れから新型コロナウイルスの流行により、2020年には全世界で新型コロナウイルスに苦しんでいる人が多くいらっしゃいます。
新型コロナウイルスだけでなく、何かしらの病気を発症したら出勤停止命令を出す企業も中にはありますが、出勤停止中にはなにか手当はもらえないのでしょうか?
今回のコラムでは、出勤停止中でなくても知っておきたい出勤停止中の手当やお金のことについて解説しあなたの不安を解消いたします。
出勤停止中に休業手当がもらえる場合とは
インフルエンザや感染症にかかると出勤停止命令をしばしば下されますが、情報を集めていると働いていなくてもお金(休業手当)がもらえるという情報を掴んだ人は多いでしょう。
しかし必ずしも出勤停止命令がくだれば手当がもらえるというわけではありません。出勤停止命令において手当がもらえるかどうかは以下のような、あなたがどのような状況で出勤停止になったのかで変わりるのです。
指定感染症で出勤停止では手当なし
指定感染症、たとえばエボラ出血熱や結核、腸チフスなどを発症した場合は出勤停止になっても手当は支給されません。指定感染症はそもそも国が感染症法によって指定する感染症のことで、定められた指定感染症を罹患したら会社の意思に関係なく労働者を出勤停止にできるため休業手当の支給は必要ないのです。
休業手当は労働者に落ち度がなく会社の都合で休ませた場合に支払われるものなので、法で定められた病気で休むことは会社の都合には当てはまらず支払いの義務がありません。
ただし指定感染症といっても全部で5類のジャンルに別れており、4類または5類の病の場合は法律による出勤停止の対象外であるため、後述のようなケースであれば休業補償を求められる余地があります。
懲戒処分としての出勤停止は手当なし
出勤停止は病気だけの命令と考えられがちですが、懲戒処分としても出勤停止命令があり、この場合は言わずもがな手当が支払われることはありません。
懲戒処分はいわば会社の命令に背いたり、大きなトラブルを招いて会社に迷惑をかけたことで労働者を戒めるために行われるものです。
形こそ会社の命令(都合)で「出勤するな」と言われていますが、もとを辿れば労働者側に問題があって出勤停止になっているので休業手当をもらえなくても仕方ないでしょう。
ただし会社といえども千差万別、就業規則や会社のルールはそれぞれが決めていますから、中には懲戒処分の出勤停止中でも休業手当を支払うよう定めている会社もいるため可能性がゼロというわけではありません。
もし懲戒処分で出勤停止命令になっているのであれば、確認も兼ねて就業規則を今一度読み直して理解を深めてみるのもいいでしょう。
会社命令による出勤停止は手当あり
感染症法など法律に基づかない、会社の判断で出勤停止命令が発動した場合は休業手当を請求することができます。
指定感染症の場合は感染症法に基づいて会社の意思に関係なく就業を制限(出勤不可)ができていましたが、会社の意思で労働者を休ませた場合は会社都合により休業手当が発生するのです。
たとえばインフルエンザが流行していて社内で感染者が発生した場合、感染拡大を防止するために会社が独自に労働者を休ませるようなケースがこれに当てはまります。
インフルエンザの場合、新型が季節型(毎年流行するもの)かで感染症法に定められている場合もあるのできちんと理解しておかないと、会社と余計な軋轢を生むので注意しなければいけません。
休業手当がなくても傷病手当は検討できる
もし指定感染症など法律による出勤停止になったとしても、休業手当がもらえなくても別に傷病手当というお金を請求することができます。
傷病手当とは健康保険に加入している人が利用できる制度のことで、労働時間ではなくプライベートな時間で起きた病気や怪我によって働けなくなった人を補償するためにあるのです。
たとえば新型コロナウイルスを発症した場合や、自宅の階段でこけて骨折したような場合に傷病手当を請求することができます。
条件としても連続する3日間、具体的には出勤日である月曜から水曜日を休んで4日目も休んだ場合に給料が払われなかった支給対象になるので、ハードルもそこまで高いわけではありません。
注意としてあくまでも手当金なので給料の満額が補償されるというわけではなく、直近12ヶ月の給料を平均した数字を30で割った数字の3分の2が支給されるので、得られるお金はそこまで多くはないのです。
まとめ
出勤停止はどのような状況かによって休業手当の有無が変わり、指定感染症や懲戒処分としてであれば手当はなく、会社の都合によって出勤停止になっている場合は休業手当が支給されます。
もし指定感染症であれば傷病手当として得られなかった給料の補填は可能なので、悲観的になる必要はありません。
指定感染症は特に世間を混乱に陥れる要素でもありますので、もし労働問題でお困りの場合は当事務所にお声がけいただければあなたのお悩みを解決するお力になれますので、ぜひお気軽にご相談ください。