2020.5.22 交通事故問題
交通事故は軽傷でも慰謝料は請求可能?知っておきたい交通事故マネー
交通事故といっても軽傷で済む場合も多いですが、怪我の度合いが軽くても相手に慰謝料などを請求できるかどうか考えてしまうものです。
交通事故で負った怪我がたとえ軽傷であっても慰謝料や治療費、治療のために休業した損害を相手に請求することができます。
今回のコラムでは交通事故での軽傷で相手に請求できる損害賠償の中身と、損をしないためにやるべき注意点をいくつかご紹介いたします。
軽傷でも損害賠償請求ができる
交通事故と聞くと骨折などのイメージが大きいですが、事故の度合いも低く捻挫で済んだという話も少なくありませんが、捻挫などでも損害賠償の請求は十分に可能です。
損害賠償と一口にいっても以下のような項目で構成されているので、各項目に当てはまりさえすれば相手にお金を請求することができます。
慰謝料
慰謝料とは、事故によって治療を強いられたことに対する苦痛を補填するために支払われるもので通院慰謝料とも呼ばれます。
たとえばご自身が風邪を引いて通院をする分には「不摂生だったかな」と思う程度ですが、交通事故による怪我は本人の責任によらないところも多く、本人の意思に反して通院を余儀なくされることが大半です。
いわば「やりたくないことを強いられた」といえ、不本意なことをさせられるのは精神的ストレスになりますのでその気持ちに対して慰謝料を支払うのです。
慰謝料は主張すればいくらでももらえるというわけではなく、通院日数×2×4,200で算出されるので、5回通院したら42,000円の慰謝料を請求できることになります。
治療費
交通事故の怪我を治療するために支払ったお金も相手に請求することができます。一般的には治療費は一旦あなたが立て替える形で病院に支払い、治療完了後に病院から渡された診療明細書(レシートなど)を保険会社に送って治療費を払ってもらうことが多いです。
中には初診で交通事故と申し入れれば、病院の窓口でお金を払わずに病院から保険会社へ請求してくれるケースもあるので事前に聞いておくとスマートに済ませられます。
軽傷であれば通院日数もそこまでかからず終了するケースもありますが、慰謝料を水増し請求するために何度も通おうとする人がいらっしゃいますが、保険会社に疑われるのでやめておく方が懸命でしょう。
休業損害の補填
交通事故にあわれる人の中には働いていて、早退して治療を受ける人もいらっしゃるでしょうが、早退したために支払われなかった賃金の補填を相手に求めることができます。
交通事故で優先すべきは人身なので、治療のために仕事を休んで本人に損害を与えるのは本末転倒であるため休業による損害の補填が認められるのです。
たとえば10時から18時までの勤務で16時に治療のため早退した場合は、16時から18時までの休業損害を請求するイメージです。
治療のための早退であれば争うことはありませんが、通院もせずに遊ぶために早退して休業損害を請求しても認められる余地はありませんので、くれぐれも軽率な行動をしないようにしましょう。
損をしないためには適切な手続きが必要
慰謝料などお金がもらえるといっても、請求できるまでに煩雑な手続きが潜んでいることも多く正しく請求できるか心配な人も多いでしょう。
特に以下の注意点をしておかないと、そもそも請求できるものも請求できなくなるのでしっかりと留意しておかなければいけません。
人身事故として届け出ること
交通事故が起きた直後に警察に人身事故にするか物損事故にするか聞かれますが、人身事故として申し出ておかないと慰謝料はもらえません。
人身事故は文字どおり人に怪我を負わせた事故として処理され、慰謝料の請求に必要な交通事故証明書が交付されますが、物損事故は物を壊した事故として処理されるので交通事故証明書がもらえないのです。
事故直後は気になる怪我もなくつい物損事故にしてしまいがちですが、少しでも体に違和感があるのであれば人身事故として届け出ておく方が無難です。
もし物損事故で届け出てしまっていた場合でも、人身事故証明書入手不能理由書という書類を提出すれば物損事故でも治療費の請求は可能になるので覚えておくとよいでしょう。
病院で治療を受けること
軽傷すぎると病院に行くほどでもないと判断しがちですが、一度はかならず病院で診察を受けるようにしましょう。交通事故直後は気持ちが高まり怪我をしていても痛みや違和感を覚えにくくなっており、時間が経ってから体の不調を自覚するケースも少なくありません。
たとえば交通事故の代表的な怪我にむちうちがありますが、頭痛や手のしびれを引き起こす疾患なので事故とは関係なく起こりやすく放置するような場合があげられます。
最初から病院に行かなければ保険会社としても「怪我はなかったんだ。では治療費や慰謝料は不要ですね」と判断され請求できるものも請求できなくなるのです。
まとめ
交通事故の怪我が軽傷であっても、慰謝料、治療費、休業損害など様々な損害を相手に請求することができます。大きな怪我ではない分保険会社との話がこじれるおそれは少ないですが、中には支払いを少なくしようと画策する保険会社もあるため安心はできません。
すでに保険会社との話し合いがこじれている場合は、話し合いがうまく着地するよう当事務所がサポートいたしますのでぜひ一度ご相談に来られてみてはいかがでしょうか?