2020.5.21 交通事故問題
交通事故の通院費用はどこまで支払われる?知っておくべき注意点とは
交通事故にあえば怪我をするおそれも高く、お住まいの近くに病院がなければ遠くにある病院に行かざるをえず通院費用の支出を強いられる人もいるでしょう。
交通費は後日になるものの支払ってもらえますが、電車やバスの代金、ガソリン代などに限られることが大半です。
今回のコラムでは交通事故の怪我を治療するための通院費用がどこまで支払ってもらえるのか、またどのように算出するのかを解説いたします。
交通事故で支払ってもらえる通院交通費
交通事故と一口にいっても怪我の態様は人それぞれなので、すべての人が必ずしも交通費に支出した金額のすべてを請求することはできず、怪我に応じた費用のみを支払ってもらえるのです。
代表的な移動手段には電車やバスがあり、このケースではほとんどが認められますが、タクシーの場合は足を骨折しており駅に行けないような状況であれば交通費として認められるケースがあります。
しかし、たとえば片腕を折っただけの場合、駅や停留所には自分で赴くことはできますから、移動が困難ではない人がタクシーを使っても交通費が認められないおそれがあるのです。
交通事故で怪我をすれば誰しも「被害者なんだからこれくらい払ってもらえて当然」と思ってしまいがちですが、公平さを保つためにすべての通院費用が支払われない場合もあるので注意しなければいけません。
支払いの対象になる通院方法の例
交通費といってもすべてを支払ってもらえないおそれがあるため、どの移動手段なら支払ってもらえるのか心配になるのも当然です。以下の3つは相手方保険会社も争うおそれが少ない方法なので、以下を参考にしながら通院を検討するといいでしょう。
電車
お近くに診察してもらえる病院がなく、電車を使わないと診てもらえない場合は電車代を請求することができます。たとえば東京都23区内だと住宅街の中でも外科や整形外科、交通事故の治療を対象にしているクリニックをよく見かけますが、地方になるとお住まいのエリアでも病院がないこともしばしばあります。
交通事故で優先されるのは人が負った怪我の治療なので、治療できる場所に移動した費用を補填されるのは至極当然であるともいえるでしょう。
バス
電車を使うほどでもなく、バスで通える範囲に病院がある場合も通院交通費としてバス代の請求が可能です。バスだけでなく電車で通院をした場合、交通費の算出にはあなたのお住まいの最寄駅から対象の病院の最寄駅までの往復代金で計算します。
お住まいのエリアによっては最寄り駅が複数候補にあがり、交通費にも差額が出る場合もありますが、差額が微小であれば保険会社も争うケースは少ないのでそこまで気にする必要はありません。
ただし乗車した駅が最寄駅からあまりにも離れている場合は、保険会社によっては説明を求められるおそれもありますのでどういう事情でその駅を利用したのか経緯を記録しておく方が賢明でしょう。
自家用車
もしあなたが自動車をお持ちであれば、病院までに費やしたガソリン代を請求することが可能です。自家用車は電車やバスと比べると決まった運賃がないので算出が難しそうに思われますが、1kmあたり15円を支払ってもらえる基準があるためそこまで難しいことはありません。
距離を測るにしても近年では地図アプリなどで簡単に距離や経路の検索ができますので、通った道をセットすれば距離を簡単に検索できますから試してみるといいでしょう。
なお自動車によっては燃料の種類が違うため距離計算では持ち出しが出るおそれもありますが、距離での計算になるため最短ルートで通院できるよう工夫をしたほうが負担も少なくスマートに済ませられます。
会社や学校への移動費用請求は難しい
よくあがる通院交通費の疑問に会社や学校への移動費用はカバーされるのかというものがありますが、結論からいくと請求するのは困難です。
会社や学校は交通事故があってもなくても行かなければならいものなので、保険会社がカバーできる交通費には含まれません。
特に会社への通勤費用は支給されていることが多く、保険会社から支払われたとしても二重取りになるため公平さを欠くことになるため認められないのです。
ただしもともと徒歩通勤などで会社から交通費の支給もなく、足を骨折して移動できないような状況であれば交通費が認められる余地はあるので、事前に保険会社に聞いておくと不要な出費にならずに済むでしょう。
まとめ
通院交通費は主張すればすべての交通費を支払ってもらえるわけではなく、怪我の状況に応じて必要不可欠な移動手段に費やした費用のみ支払われることになります。
電車代やバス代、ガソリン代であれば認められる可能性は高いので心配する必要はないでしょう。しかし診察を受けるにも遠くにまで足を伸ばさないといけず、あれこれ出費を余儀なくされた場合は素人だけの判断は難しいこともあるので、一度当事務所の弁護士にご相談されてみてはいかがでしょうか?
事前のご連絡があれば夜間のご相談も可能ですので、お気軽にご相談ください。