2020.3.12 企業法務
経営者必見!会社の倒産を考えたときに知っておくべきこと
近年は大企業であっても倒産したり買収され、中小企業であればいつ倒産してもおかしくない時代が到来しています。もしあなたが経営している会社が倒産する事態になった場合、何をすべきなのでしょうか?
今回のコラムでは経営者が知っておきたい会社倒産時のやるべきことをピックアップし、ご紹介いたします。
倒産によって考えておかなければならないこと
経営者であれば会社はいわばあなたの一部でもありますから、事業の運営ができなくなったら放置すれば終わるというわけにはいきません。あなたの会社が倒産した場合、主に以下の2つのことを視野に入れて行動をはじめることになります。
経営者個人の債務整理
会社が倒産と同時に検討しなければいけないことに、経営者個人での債務整理手続きがあげられます。会社を経営していると全て自己資金で運営できないケースも多く、操業によってどこかからお金の借り入れなどをしていることが大半です。
借入時には経営者に連帯保証契約を求められることがほとんどで、支払能力がなくなった会社の代わりに借り入れ分の返済を求められてしまいます。たとえば500万円のお金を借りていた場合で経営者自身も返済能力がない場合は、債務整理をしていないと厳しい取り立てや差し押さえされてしまうのです。
債務整理に頼らずなんとか返済したいと考える人も多いでしょうが、先行きがわからないのに借入先が悠長に待ってくれるとは限りませんので、すみやかな判断が求められます。
新たな職・収入源の確保
会社の倒産はいわば経営者の職を失うことに直結するため、新たな職や収入源の確保が必要です。会社の倒産は利益がないこと、つまり経営者にとっても収入がなくなるので、倒産すれば自治体などからお金が舞い込んでくるわけでもありません。
労働者であれば雇用保険に加入しているため職を失っても失業手当が支給されますが、経営者は雇用保険に加入できないので倒産しても誰も補償はしてくれないのです。倒産への無補償は冷たいと思われがちですが、経営者はいわば自分の意思に基づいて運営しているので、営業しようが倒産しようが自分の判断による結果といえるため国や自治体などがサポートする必要はないのです。
債務整理は個人でするのは難しい
多額の債務を負っている場合、債務整理はいわば救済手続きともいえますが実は手続きをしたくても複雑なあまり個人では難しいのが現実です。加えて債務整理と一口にいっても、任意整理や個人再生、そして自己破産と種類があるため以下のようにどのような制度なのかきちんと理解しておかないと後悔することにもなります。
任意整理
任意整理とは文字どおり、債務者(倒産した経営者)が自主的に債権者と債務を整理する手続きです。後ほどご紹介する個人再生や自己破産とは違い裁判所を介さない自主的な手続きで、うまく話がまとまれば借入金の利子を免除され返済額を少なくできます。たとえば毎月50万円を返済していても支払いが滞ると遅延損害金などが付与されるので返済が困難になりますが、利子が免除されれば元金だけの返済で済むので返済もしやすくなるのです。
ただし任意整理は債権者と債務者との話し合いが成立しなければいけませんので、個人で交渉しても拒否されれば意味がないため、適切な知識と交渉術がないと個人では難しいでしょう。
個人再生
個人再生とは裁判所でおこなう債務整理のことで、認められれば債務を減額してもらえる手続きです。たとえば倒産で負った債務が500万円の場合は返済額が100万円に減額され、返済する金額が少なくなり負担も少なくなります。減額される幅は債務の金額によって変動し、具体的には100万円から500万円であれば返済額が100万円に、500万円から1,500万円であれば5分の1になるのです。
ただし個人再生を申し立てれば必ずしも減額されるとは限らず、債務が100万円未満の場合は減額されず全額を支払う必要があるので恩恵があるとはいえない場合もあります。
自己破産
自己破産は裁判所で行う債務整理のひとつで、認められれば全ての債務が免除されます。自己破産はテレビドラマなどでもよく見かける言葉であり、恩恵も大きいといえますが、自己破産を申し立てれば必ずしも債務が免除されるとは限りません。自己破産は、破産宣告をして裁判所に債務の免除許可(免責といいます)がおりてはじめて債務の返済をしなくてよくなります。
しかし、免責を獲得するには膨大な書類を用意しなければならず、場合によっては裁判所が任命する管財人があなたの資産や郵便物などをチェックし、免責がふさわしくないと判断されれば免責はおりないのです。完璧な書類の提出、管財人との面談、債務者への連絡などやることは多岐にわたるため、自己破産を検討するにしても弁護士に任せておく方が賢明でしょう。
まとめ
会社が倒産すれば、会社が負っている債務を経営者が返済しなくてはならなくなるので、場合によっては返済困難になり債務整理を検討しなくてはいけなくなります。インターネットを駆使すれば債務整理を一人で完遂できなくもないですが、手続きによっては手続きの難しさにサジを投げる場合もあるのです。
もし倒産の危機に瀕しているのであれば、早い段階で債務整理などを検討しておく必要があります。おひとりでご不安な場合はぜひ当事務所に一度ご相談ください。当事務所は借金問題への実績も多く、あなたの新たな一歩を踏み出すサポートが可能です。事前のご連絡で夜間のご相談も可能ですので、お気軽にご来所ください。