2020.4.7 交通事故問題
交通事故の過失割合はどう決まる? 3事例から考える過失割合の具体例
交通事故が起きると「過失割合が○○」という話を聞いたことがありますが、事故と無縁の人であればどんなものなのかイメージができないのではないでしょうか。実際に事故にあっても良くわからないまま話が進んでしまうことも良くあることです。
今回のコラムでは過失割合が何なのかを3パターンを具体例にしながらわかりやすく解説いたします。
パターン別による過失割合
交通事故の過失割合とは簡単にいうと、交通事故を起こした当事者の責任がどれくらいあるかを割合(数値)にしたものです。交通事故は誰かの不注意で起きますが、責任の所在をはっきりとさせ、交通事故によって発生した損害(修理費用など)をわかりやすくするためにあります。
たとえば信号無視をして突っ込んできた車にぶつけられたら、過失割合はあなたが0(責任なし)に対して相手が10(責任100%)というイメージです。
事故の態様はさまざまなので一概にこの数値と断言しにくいですが、交通事故にはよく起きるパターンがあるので、起きた事故の態様がよく起きるパターンの事故であれば過失割合を導きやすくなります。
後ろから信号待ち車両に追突
進行方向が同じ車線において、信号待ちをしている先行車両に突っ込んでしまった場合は、あなたが10(責任100%)、相手は0(責任なし)と判断されやすいです。
信号待ちは交通ルールに沿って正しく待機・停止しているので、相手に責任があるとは認められにくく、うっかり追突してしまったあなたの不注意が事故の原因であると考えられるからです。
もちろん先行車両が急ブレーキをかけて追突したようなケースではあなた7、相手3というバランスになることもありますので、相手がすでに止まっていたか、急ブレーキで止まったかで数字は変動します。
右折中に直進車両に追突
あなたが右折をしようとしていたところに反対車線から直進している車両に追突された場合(いわゆる右直事故)、あなたが8、相手が2というバランスになります。ぶつけられたので一見相手に責任が大きいように思われますが、交通ルールでは直進車が優先されるので、右折車はより慎重さが求められます。
適切に進行している直進車両にぶつけられたのですから、優先されない右折車両は責任の度合いは大きく、交通事故が起きた80%の原因はあなた(右折車両)ということになります。
ただし双方の信号が黄色の場合で右直事故が起きた場合は、「信号が変わります、気をつけてください」と黄色信号が求めているのに事故を起こしたので双方に同等の割合になるケースがあるのです。
巻き込みによる事故
バイクなどの二輪車が左側からすり抜けてきて、左折時にあなたがバイクを巻き込んでしまった場合はあなた8、相手が2になります。
そもそも左側からの追い越し行為は適切な追い越し方法ではないのであなたに責任はなさそうに思われますが、相手がどんな運転をしていてもぶつけてしまった側の責任は大きいのです。
なお、ごく稀に先行するバイクを追い越してすぐに左折するような場合、あなたの責任の度合いは10に急上昇することがあります。これはすぐに左折することがわかっているのに追い越して左折しており、いわばバイクを巻き込むおそれが高いとわかっていたからです。
事故が起きる確率が高いと知っていて追い越し直後に左折するのはもはや不注意の度合いは大きくバイク側に責任を求めることは困難でしょう。急いでいるときこそよくやってしまう運転方法ですが、有事の場合は責任は免れませんので普段から注意が必要です。
過失割合はどう決まる?
過失割合を決めるのは事故の態様によって考慮されますが、判断材料のひとつとして当事者のどちらの不注意が大きかったかで考えます。車同士の事故はドライバーが運転していないと起こりませんが、どちらかのドライバーがうっかりを起こさなければ事故は起きません。
たとえば先行車両が赤信号で待っている場合、居眠り運転をしていて先行車両に気づかなかったような場合です。眠気があるのをわかっていてそのまま運転しているのは、居眠り運転をしているドライバー側のうっかり(責任)といえ、事故を起こした原因といえるでしょう。
なお、あなたが相手の車両に追突した場合でも相手の車両が少しでも動いていれば、相手に対しても責任が少なくとも1は付与されることになります。ドライバーは各々事故が起きないように他車両を回避する義務があるのですが、突っ込んでくる車両から回避しなかった義務違反として責任が1付与されるのです。
交通事故は動く車同士が起こすものなので双方に責任が発生するようになっていますが、ドライバーの不注意の度合いによって決定します。
交通事故で損をしないためには
交通事故の過失割合で納得できるものもあれば、当然納得できないような内容で話が進められることもあります。このような場合、公平な修理費用や慰謝料を請求することができずこじれることにもなりますが、もし話し合いで納得できないようなら弁護士に相談するのが一番です。
弁護士は個人で話し合いをするよりも従前の事例や知識を駆使して適切で、かつ有利になるように話し合いを進めることができます。
たとえば慰謝料の交渉をするときはオーソドックスな基準しか使えないのに対し、弁護士は裁判所などの判例をもとにした基準を使うので高額な慰謝料を請求することが可能です。
ご加入の任意保険によっては弁護士費用特約など依頼費用をカバーできる保険がセットになっていることもあるので、費用面がネックでお困りの際は活用されるといいでしょう。
まとめ
交通事故の過失割合は事故の内容によって決まりますが、多くの交通事故はある程度パターンが決まっているので過失割合を導きやすく、事故が起きてもある程度は過失割合の相場を調べることが可能です。
交通事故はいつ、どんな時に起こるかわからないものですが、当事務所はご要望にあわせて土日祝日のご相談をお受けすることが可能です。
相手の保険会社が提示した条件に納得できないなど、事故解決の話し合いが難航していれば一度等事務所にご相談に来られてみてはいかがでしょうか。