2019.10.9 離婚問題
離婚調停はどんな内容?話し合いで解決できないときに行う調停を解説
離婚の話し合いでは婚姻費用などの財産分与、真剣などさまざまなことを協議しますが内容がまとまらずに進展しないおそれがあります。もし話が進まずに悩んでいるならば、裁判所で話し合いをする調停がおすすめです。今回は離婚問題の解決によく使われる調停の詳細と、有利に離婚できるポイントを解説していきます。
話し合いが進まないなら離婚調停をしましょう
離婚協議(夫婦の話し合い)の内容に納得して円満に終えられる夫婦もいれば、内容に納得できずこじれる夫婦もいらっしゃり、いつまで経っても離婚できない人も多いです。離婚の話し合いを当事者だけに任せると感情も出てくるのでどうしてもこじれやすいのですが、話が行き詰まっているのであれば裁判所でおこなう離婚調停を申し立てしましょう。
調停とは?
調停とは、裁判所に申立をしておこなう話し合いのようなものです。裁判所と聞くと「裁判をするの?」とイメージが先行してしまいますが、テレビのニュースで見るような裁判ではなく話し合いをする手続きです。調停では夫婦以外にも第三者(調停委員)が登場しますが、裁判とは違い裁判官ではなくその道に詳しい人を採用して話し合いを進めていきます。
夫婦が同じ日に裁判所に出向いて調停委員と話すのではなく、妻と夫、別々の日程を設けて調停委員と話しますので、あくまで調停委員とマンツーマンで進めていくのです。調停委員は妻と夫、双方の話や言い分の内容を聞いて解決策を探っていき、もし話し合った内容に妻と夫双方が納得できれば無事に離婚が成立します。調停が成立すると、話し合いをした内容が調停調書という書面が作成されますが、調停調書は通常の裁判でつくられる判決文と同じ効力をもちます。そのため成立したあとに「やっぱり納得できない!」と文句を言ったとしても、ひっくり返せないのです。
離婚調停を申し立てたい場合はどうすればいい?
離婚調停を申し立てたい場合は、裁判所に申し立てをするので申立書などの準備が必要です。申立書は裁判所で配布されているので窓口でもらうか、もしくは裁判所のホームページに公開されているのでダウンロードして記入も可能です。申し立てに必要なものをより細かく記載していきますので、参考にしてみてください。
1. 離婚調停申立書
申立書は裁判所で配布されているもの、または裁判所のホームページで公開されている申立書をダウンロードして記入します。申立書の記入内容は申立人や配偶者の名前、なぜ申し立てるのかなど詳細を選択して書き進めていきます。調停申立書の最後に「申立ての理由」があり、当てはまるものに二重丸と通常の丸で囲んでいきますが、詳細な理由を調停委員に口頭で話すのでメモ書きなどはしなくて大丈夫です。
2. 収入印紙
離婚調停を申し立てる際には、収入印紙と呼ばれるものが必要です。収入印紙とは切手のような見た目をしたもので、ざっくりとお伝えすると申し立てに必要な申し込み手数料のようなものとお考えください。収入印紙と一口にいっても額面に種類があるのですが、離婚調停を申し立てる場合は1,200円の収入印紙が必要です。
収入印紙はお近くのコンビニや郵便局、もちろん裁判所の中にある売店でも販売されているのでお近くにある施設で購入するとよいでしょう。ただし、コンビニで収入印紙を購入する場合、1,200円のような高額な収入印紙を取り扱っていない場合が多いので、郵便局で購入するとほぼ間違いなく手に入ります。
3. 付属書類
離婚調停を申し立てるためには申立書以外にも子どもに関する事情説明書などの調停申立書本体だけでは書けなかった細かな情報を提出する必要があります。付属書類については離婚調停を申し立てる裁判所によって書式や雛形がありますので、申し立てをしたい裁判所で付属書類をもらっておきましょう。書き方については裁判所のスタッフが教えてくれるので、わからない項目があれば遠慮なく聞いてみてください。
4. 戸籍謄本(全部事項証明書)
離婚調停の申し立てに必要な書類は裁判所でもらえるものだけではなく、本籍地のある役所で発行される戸籍謄本(全部事項証明書)と呼ばれる書類も必要です。戸籍謄本は本籍地でしか発行してもらえず、もしあなたが本籍地より遠方に引越しをしている場合は本籍地の役所に出向いて発行してもらわなければいけません。ただし、役所によっては郵送で戸籍謄本を発行してもらえるので詳細は本籍地を管轄する役所のホームページなどをご覧になられてください。
調停ではどんな流れでどんなことをするの?
無事、申し立てに必要な書類を集めて裁判所に提出したら、そのあとはどのような流れで進んでいくのか気になる方は多いのではないでしょうか。ここからは実際の離婚調停の流れと具体的にどんなことを聞かれるのかについて期日(回数)ごとにご紹介していきます。なお、調停委員によってはここでご紹介したこと以外にも聞かれることがありますので注意してください。
1回目の調停(初回)
1回目で聞かれる内容はまずは基本的なことがメインです。たとえば、担当する調停委員の自己紹介や申立人であるあなたの自己紹介などがあります。また離婚調停申立書に記載されている内容の確認をおこない、なぜ離婚したいのか、どうして離婚したいと思ったのかなど敬意を尋ねられます。1回目ではそこまで深いことは聞かれず、離婚をしたいと踏み切った理由を回答していくことが多いです。
2回目の調停
2回目の内容は、夫(妻)からも話を聞いてから行われます。1回目であなたが調停委員にお伝えした内容と、夫(妻)が伝えた内容を比べてみて調停委員が解決策を提示してきます。たとえば夫(妻)が不倫をしていて慰謝料の額でもめている場合、「慰謝料は少ないけれど車は諦めるから慰謝料は納得してくれないか?と旦那さん(奥さん)はおっしゃっています」といった具合です。
もしここであなたが「車がもらえるなら慰謝料は少なくてもいいかな」と思えば調停委員に気持ちを伝え、夫(妻)にも回答内容が伝えられて話し合いは成立します。しかし「車なんていらない!」と拒否した場合は調停委員に理由などを話して、回答内容が夫(妻)に伝えられます。
3回目の調停
3回目の内容は、あなたが条件を拒否したことを伝えたあとに夫(妻)がどのような主張をしたのか、または別の条件が提示されることになります。3回目以降の内容は基本的にはこのような内容を繰り返しながらおこなっていきますが、長引く場合は調停委員からも妥協案などが提示される場合もあります。なお、もし回数を重ねても話し合いがまとまらない場合、調停委員は「これ以上続けても話が着地しない」と判断して調停を終了することがあります(調停不成立)。
調停が成立しなかった場合は本格的な裁判で争っていくことになりますが、離婚裁判は朝廷よりもはるかにハードな内容になるので可能であれば離婚裁判は避けるのが賢明でしょう。
調停をうまく進めるには
誰しも離婚を不利な条件で終わらせたくなく、有利な条件で納得できる離婚がしたいでしょう。もし有利な条件や内容で離婚をしたい場合は、ひとりで悩まずに弁護士にご相談されることをおすすめします。近年では離婚や家庭の問題が起きやすく、弁護士への依頼が多くなっていることから離婚問題や家庭問題に強い弁護士が登場してきています。
たとえばもしあなたが離婚調停を申し立てたいとお考えになられて申立書の準備をしているとします。裁判所に提出しなければならない書類なので、人によっては申立書の書き方がわからない、意味がわからないなどといったトラブルに陥ることは少なくありません。このような場合、あなたひとりで手続きを進めたくても不適切な書き方ですとそもそも受付自体してもらえないおそれもあるのです。
弁護士に依頼すると手続きがスムーズになる
離婚問題に強い弁護士にあらかじめ相談しておくと、申立書の書き方や進行がスムーズになります。申立書や付属書類を用意する前に弁護士に話をしておくと、事情をきれいにまとめてくれるので調停委員に伝えなければいけないことが明確になります。
たとえばあなたひとりで付属書類を書いても、書類に不必要な情報まで書いてしまい調停委員が理解できなくなってしまいますが、弁護士は文章のプロでもありますから情報の取捨選択は得意分野なのです。
調停に同席してもらえる
弁護士に依頼しておくと調停に同席し、調停委員の話をいっしょに聞いて考えてくれるので、あなたが不利にならない選択肢を提示してくれます。調停委員がもし「旦那さん(奥さん)はマンションを諦めて欲しいと言っていますがどうですか?」と聞かれた場合、あなたが拒否をしたら問題はどんどんこじれていきます。
しかし同席している弁護士が「マンションは諦める代わりに、○○を条件に諦めるといえば相手は納得してもらえるかもしれません」とあなたが有利になるようにアドバイスをしてくれるのです。
まとめ
近年ではインターネットを活用すれば付属書類などの書き方もご自身で対応できますが、中には不適切として受付をしてもらえないこともあります。もしスムーズに、そして不利にならないように離婚を進めたいのであれば弁護士費用はかかりますが弁護士にご依頼されるのが一番です。当事務所は離婚問題をご依頼いただいた実績も豊富なので、一度ご相談に来られてみてはいかがでしょうか?