2019.8.25 借金問題
自己破産とは?メリット・デメリットなどを解説
借金の返済に困ったとき、「自己破産」の文字が頭をよぎることもあると思います。しかし、自己破産とは具体的にどのようなことなのか、わからない人も多いのではないでしょうか? ここでは、自己破産について基本的な内容をわかりやすく解説します。自己破産のメリットやデメリットを知ったうえで、手続きすべきかどうかを検討しましょう。
自己破産の概要
自己破産とは?
自己破産とは、借金の支払いが不可能な状態であることを裁判所に宣言してもらう手続きです。自己破産は債務整理の1つの手段で、合法的に借金を免除してもらえる唯一の方法になります。
自己破産の手続き方法
自己破産するときには、必要書類を揃えて地方裁判所に申立てする必要があります。申立て後に書類審査や裁判官による面接が行われ、要件をみたしていれば自己破産の決定が出されます。自己破産の決定は、以前は「破産宣告」と呼ばれていましたが、現在は「破産手続開始決定」と言います。
免責許可とは?
自己破産しただけでは、借金はなくなりません。借金を免除してもらうためには、破産手続開始決定後に、免責許可を受ける必要があります。法律に定められた免責不許可事由がなければ、免責許可が受けられます。実際には、免責不許可事由があっても、裁判官の裁量で免責許可が受けられるケースが多くなっています。
自己破産のメリットとは?
借金を免除してもらえる
自己破産のいちばんのメリットは、借金を帳消しにしてもらえることです。債務整理のうち、借金がすべて免除になるのは、自己破産だけです。ただし、自己破産しても、滞納していた税金や慰謝料などの支払い義務がなくなるわけではありません。
債権者からの督促が止まる
破産手続開始決定後、貸金業者などの債権者は、借金の取り立てをすることが禁止されます。自己破産すれば債権者から督促を受けることがなくなり、精神的に楽になります。弁護士に依頼して自己破産の申立てを行う場合には、弁護士が債権者に受任通知を送った段階で貸金業者の督促が止まります。より早い段階でプレッシャーから解放されるためにも、自己破産は弁護士に依頼するのがおすすめです。
裁判や差押えも中止する
債権者から裁判を起こされていた場合、破産手続開始決定と同時に、裁判は中断します。給与や財産を差押えされていた場合には、差押えの手続きも取り消しになります。
自己破産のデメリットとは?
財産を失う
自己破産の最大のデメリットは、財産を失うことです。現金はもちろん、家や車なども換金して借金の返済に充てなければなりません。ただし、最低限の現金(原則99万円)は手元に残すことができます。
官報に名前が載る
自己破産した人は、官報と呼ばれる国の広報誌に名前が掲載されます。しかし、一般の人が官報を見る機会はほとんどないので、それほど大きなデメリットにはなりません。
職業制限を受ける
破産手続開始決定後、免責許可を受けるまでの間は、一部の職業等に就けないという制限があります。制限を受ける職業や資格としては、以下のようなものがあります。
士業 | 弁護士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、不動産鑑定士、司法書士、土地家屋調査士、行政書士、中小企業診断士、宅地建物取引士、通関士、弁理士など |
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公務員 | 人事院の人事官、国家公安委員会委員、都道府県公安委員会委員、公正取引委員会委員、教育委員会委員など |
その他 | 警備員、貸金業者、割賦購入あっせん業者、一般廃棄物処理業者、産業廃棄物処理業者、質屋、不動産鑑定業、生命保険募集人、商工会議所役員など |
破産手続開始決定から免責許可決定までは3~6か月程度なので、上記のような仕事をしている人は、一時的にその仕事ができなくなります。免責許可を受けて復権すると、再び仕事ができるようになります。
7年間は再度の免責が受けられない
過去7年以内に免責を受けたことがあれば、免責不許可事由に該当するため、自己破産しても原則として免責になりません。一度自己破産して免責になると、7年間は免責許可が受けられないということです。「借金が返せなくなっても自己破産すれば大丈夫」というわけではありません。悪質な場合には、裁判官の裁量でも免責にはならないのが通常です。自己破産は慎重に行いましょう。
ブラックリスト(信用情報機関)に載る
自己破産をした履歴は、信用情報機関に登録されます。信用情報機関とは、貸金業者、金融機関、カード会社などが利用者の信用情報を登録して共有しているところです。信用情報機関に自己破産などの事故情報が登録されると、「ブラックリストに載った」と言われ、情報が削除されるまでの期間は新規の借入ができません。債務整理をするとどの方法でも5年程度は事故情報が登録されますが、自己破産の場合には最長で10年程度情報が残ることがあります。自己破産後しばらくは新たに借金ができませんから、その期間は生活再建に集中しましょう。
まとめ
自己破産をすれば、借金は帳消しになりますが、マイホームなどの財産を失ってしまいます。財産を持っていない場合には、自己破産によるデメリットはそれほど大きくありません。自己破産することで早く借金の悩みから解放されることもありますから、選択肢の1つとして検討してみましょう。