2025.2.17 正木ブログ
ブルネイの2つのSupreme Court
ブルネイダルサラームにおいては、民事手続はイギリスの最高裁判所のPrivy Councilに上訴可能であることは先日のブログで触れたとおりです。
であるならば、ブルネイダルサラームの民事裁判所を「Supreme Court(最高裁判所)」と呼ぶのは不適切なのではないか、という気もしてしまいます。
とはいえ、ブルネイでは実際にHigh Court(高等法院)とCourt of Appeal(控訴院)を含む裁判所をSupreme Courtと呼んでいるようです。
ブルネイの刑事手続を見てみると、英国法の流れを汲む刑事法と平行して、イスラム教に基づくシャリーア刑法(Syariah Penal Code Order 2013)も運用されているようです。こちらについては、刑罰が重いこともあり、在ブルネイ日本大使館からも注意喚起がなされています。
ブルネイのバンダルスリブガワンの街を歩いていると、ロイヤルレガリアという王室博物館の向かいに、Shariah Courtという案内の出た大きな建物があることに気付きます。中に入っていないので分かりませんが、シャリーア法に基づく手続はこちらの裁判所でおこなわれるのだと思われます。
日本においては、憲法76条2項において、「特別裁判所は、これを設置することができない」と定められており、少なくとも最高裁判所から独立した形での法廷というものは想定されておりません(たびたび議論に出る軍事法廷も、仮に設置されたとしても最高裁への上訴権は残ることになります)。
司法制度は国によって異なるということを、あらためて認識することとなりました。